2024.01.19
犬のレッグ・ペルテスについて｜歩き方に違和感があれば要注意
犬のレッグ・ペルテス (別名：レッグ・カルベ・ペルテス病、大腿骨頭壊死症)とは、大腿骨（太ももの骨）と骨盤を繋ぐ大腿骨頭という部位への血液供給量が不足した結果、大腿骨頭の成長障害が生じ、大腿骨頭の変形や壊死が生じてしまう病気です。
この記事では犬のレッグ・ペルテスの原因や症状、治療法などについて詳しく解説します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
犬のレッグ・ペルテスの原因として、遺伝的な要因、血管や骨格の構造の関与などが疑われていますがはっきりとした原因は不明です。
また、レッグ・ペルテスはトイ・プードルやテリア系、ペキニーズ、ダックス、パグ、ポメラニアンなどの小型犬で多く見られ、大型犬での発症は稀です。
成長期である生後3カ月から１歳前後で最も多く発症します。
症状
大腿骨頭の炎症や壊死に伴い、患部側の後ろ足に強い痛みが生じます。
初期は散歩の時に立ち止まることが増え、足をかばうようにヒョコヒョコと歩くような仕草が見られます。
病気が進行すると、痛みにより散歩に行きたがらなくなる、キャンと鳴く回数が増える、足を常にあげて歩くような様子が見られます。そして、患部側の後ろ足は次第に筋肉が萎縮し、細くなっていきます。
末期になると大腿骨頭が壊死して骨折するため、非常に強い痛みが生じ、元気や食欲が低下することもあります。
また、レッグ・ペルテスと症状が似ている代表的な疾患として、膝蓋骨脱臼 (通称パテラ)があげられます。
そのため、触診やレントゲン検査によって膝蓋骨脱臼がないかしっかり確認する必要があります。
診断方法
臨床症状やレッグ・ペルテスの好発犬種であるか、成長期であるかなどを総合的に考慮して本疾患を疑い、歩様検査、触診、神経学的検査、レントゲン検査などを中心に行います。
レントゲン検査では、大腿骨頭の骨融解や変形、壊死などが見られますが、
発生初期の場合はレントゲン検査でも異常を確認しづらいことがあります。
その場合はフロッグ・レッグ・ポジションという股関節をより評価しやすいポジションでレントゲン撮影や、CT検査やMRI検査といったより高性能な診断ツールを使って診断します。
（CT検査やMRI検査は基本的に全身麻酔が必要な検査となります。）
治療方法
レッグ・ペルテスの治療法には大きく分けて内科治療と外科治療があります。
内科治療では、消炎鎮痛剤やサプリメントなどを用いて、痛みの緩和をしていく対症療法が中心となります。
また外科治療では、大腿骨頭切除術 (変形・壊死した大腿骨頭を切除する術式で、その後、関節周囲の靭帯や筋肉などが関節に近い役割を持つようになる)を行います。
手術自体の難易度はそこまで高くありませんが、正常な歩行を取り戻すためには術後のリハビリがとても重要です。
当院では院長がテネシー大学のリハビリに関する資格（CCRP）を取得しており、的確なリハビリプランを組むことが可能であるため手術後のケアに強みがあります。
なお、術後は鎮痛剤を併用しながらストレッチをして、股関節の柔軟な動きを繰り返しリハビリしていきます。
鍼灸も痛みを和らげリハビリに有効なので、西洋医学と東洋医学の両方を組み合わせた対応が可能なのも当院の強みです。
他院でレッグ・ペルテスの手術を受けた方がセカンドオピニオンで当院に来院され、鍼灸を組み合わせたリハビリを行い症状が改善したという事例もあります。
予防法とご家庭での注意点
残念ながらレッグ・ペルテスのはっきりとした原因は不明であるため、有効な予防法はありません。
そのため、ご家庭では日頃から歩行の様子を観察し、歩き方に違和感がある場合や、足に痛みを感じている様子が見られれば、すぐに獣医師に相談してください。
骨折や靭帯断裂などの大きな怪我を防ぐためにも、高い場所からジャンプさせることや、激しい運動は注意が必要です。
まとめ
レッグ・ペルテス病は、小型犬の整形疾患の中では膝蓋骨脱臼や骨折などに次いで比較的多い疾患です。
治療が遅れると股関節が変形し、手術後の回復に大きな影響を与えるので早期発見・早期治療が非常に重要です。
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・犬の膝蓋骨脱臼について｜パテラの手術法は？
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