2024.04.04
ACS letter 2024.4 アナフィラキシー
こんにちは。獣医師の内田です。
つい先日、アナフィラキシーショックを起こした仔犬さんがいました。
注射をした後、1分程度でふらつき虚脱、粘膜が真っ白になり失禁の症状もみられました。診察室の中で症状が出たため即時に対応することができ、数時間後には元気になり、翌日には元気に退院して帰ることができました。
このような重篤なアナフィラキシーショックを起こす子は多くはありませんが、ワクチン接種の後に、顔がパンパンに腫れたり、皮膚がボコボコしたりと蕁麻疹の症状を起こすことはしばしば経験します。
4月からは2024年度の狂犬病接種も始まります。
今回は「アナフィラキシー」についてお話ししたいと思います。
【アナフィラキシーとは】
アナフィラキシーとは、薬剤や毒素など、外から摂取・侵入した原因物質に体が激しく反応する過剰なアレルギー反応が起こった状態をいいます。アナフィラキシーの中でも特に重篤なアナフィラキシーショックが起こると、命を脅かすような状態に陥り、即時に対応しないと死に至ることもあり大変危険です。
アナフィラキシーを起こす原因物質としては、様々なものがあります。代表的なものは、ハチやヘビなどの毒、抗生物質や麻酔薬、ワクチンなどの薬剤。甲殻類や穀物などの様々な食品がアナフィラキシーを引き起こすこともあります。
このように様々な原因物質があることと、症状が出るまでの時間に差があるため、実際の現場では原因物質を特定することが難しい場合も多々あります。
【症状】
アナフィラキシーの症状が現れるまでの時間は、原因物質の摂取・侵入から数分~数時間以内に出ることが多く、特に重篤なアナフィラキシーショックは、数秒~数分に出ることが多いです。
症状は、顔面の腫脹・蕁麻疹・嘔吐・下痢などで、重篤なアナフィラキシーショックの場合は、低血圧・頻脈・呼吸困難などを起こし、ぐったりとします。アナフィラキシーショックは、直ちに治療を施さないと命を落としてしまいます。
【診断・検査】
まずは原因となるようなものの摂取や接触があったかどうかの問診、身体検査などを行いますが、アナフィラキシーショックが疑われる場合はまず治療を優先しなければなりません。全身状態を把握するために、時には治療と並行して血液検査や超音波検査を行うことで、アナフィラキシーかどうかを判断していきます。
【治療】
状態に応じて、ステロイド剤・抗ヒスタミン剤など各薬剤の投与、輸液や酸素吸入・人工呼吸・心電図や血圧のモニターなどを行います。特にアナフィラキシーショックの場合は、迅速な対応が必要です。
【予防】
ワクチン接種や各種注射の後、アナフィラキシーの原因になるものを摂取したときは、激しい運動を控え、顔が腫れてくる、呼吸が早い、ぐったりしている、嘔吐をするなどの様子がないか注意して観察し、異常がみられたらすぐに病院を受診してください。
当院ではワクチン接種の際、接種10分後にアナフィラキシー症状がないかどうか確認するため必ず待機していただいています。その後も接種当日は、激しい運動や興奮は避け、しっかりと様子を観察しましょう。数時間後に蕁麻疹等の症状が出る場合もあります。その際、病院の診察時間内に対応できるよう、ワクチン接種はなるべく午前中に受診しましょう。
ワクチン接種に不安がある際は、いつでも獣医師にご相談ください。
神戸三宮元町
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