2023.08.07
ACS letter 2023.8 ㊿オズウイルス
こんにちは、スタッフの辻本です。
早速ですが、皆様オズウイルスって聞いたことありますか?
2023年6月の厚生労働省の発表によると、去年夏ごろに発熱・倦怠感を訴えて病院で受診し、心筋炎で亡くなった女性患者が検査の結果、このオズウイルスによる感染症と診断されたということです。
人に感染、発症・死亡の確認は国内で初であり世界でも例がないそうです。
ここで注目すべきはこの女性が入院時、右の太ももの付け根にマダニの咬着が確認されたことから節足動物媒介感染症が疑われその後の検査が進められた事です。
オズウイルス(Oz virus, OZV)はオルソミクソウイルス科トゴウイルス属のRNAをゲノムとして持つウイルスで、2018年に日本で発見された新種のウイルスです。
一体どこからこのウイルスを見つけたかと言うと、タカサゴキララマダニ (Amblyomma testudinarium)というマダニの一種です。主に関東以西に広く分布していて、これまでに行われた野生動物の調査によるとニホンザル、ニホンイノシシ、ニホンジカから感染歴を示す抗体が検出されています。
オズウイルスによる発症例は今回のケースが1例目であるため、感染した場合にどのような症状が出るかや感染経路など現時点で確立した知見は得られていませんが、研究によるとこのウイルスに過去に感染したことを示す抗体を持っている人もいることが分かっているので、感染しても軽症な場合もあると考えられます。
また、感染したマダニの刺咬により人が感染する可能性が考えられていることからマダニに刺されないようにする事が重要です。
特にマダニの活動が盛んな春から秋にかけては十分注意をしてください。以前ACSレター37でもご紹介しましたSFTS(重症熱性血小板減少症候群)もマダニからウイルスがうつる病気です。
このようなダニ、ノミ、シラミ、蚊などといった外部寄生虫と呼ばれる生物は、私たち人間と動物の間で病原体を媒介する事が多く、動物と一緒に暮らす上でこの外部寄生虫の予防をすることはとても重要になってきます。今年は当院でもノミの症例が特に多いようです。予防薬をしているからといって体表につかないわけではないので、日頃からの健康チェックでも毛をかき分けてチェックし気をつけていきましょう。
整形外科クリニック
神戸三宮元町
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