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動物病院+トリミング
神戸三宮元町にあるACSです。

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2023.04.21

ACS letter 2023.4 ㊽症例紹介

 

今月は、荒濵がACSレターを担当させていただきます。

 

ACS動物外科クリニックに勤務するようになってから早10ヶ月が経過しようとしていますが、まだまだ慣れないことがたくさんで、毎日一日が終わるころにはヘトヘトになっています。これから動物病院業界では繁忙期を迎えるため、美味しいものをたくさん食べ英気を養い乗り切っていきたいと思います。

 

 

さて今回は、大腿骨を骨折し当院で手術したワンちゃんの一例を紹介したいと思います。

 

2022年の10月末、他の動物病院で大腿骨の骨折と診断され当院へ紹介されました。

当院へ来た時には皮膚の一部が折れた骨で穿孔している開放骨折でした。

整形外科の世界において、感染のコントロールは非常に重要となってきます。

なぜなら、骨に細菌が感染した場合、骨髄炎を発症することで骨や軟骨が壊死し、それに伴い治療の長期・難治化が生じるためです。

開放骨折は、折れた骨が外界と接触することによる術後の感染リスクが高くなるため、術中および術後の感染コントロールが非常にシビアになってきます。

今回来院されたワンちゃんは、この状態のまま動き回ることによる患部の悪化や周辺組織の損傷、感染拡大の可能性を考慮し、そのまま手術当日まで入院することになりました。

 

本症例では、大腿骨をプレートで固定する方法をとりました。

骨を固定する方法としては、①ギブス、②ピン、③プレート、④創外固定などがあります。

中型のワンちゃんで、骨折の整復後はなるべく早く肢を使い患肢に負荷をかけることが回復に重要であり、かつその負荷に耐えることのできる強力な固定が必要ということで③のプレートを選択しました。

 

 

 

 

プレート固定のイメージ図

出典:DePuy Synthes LCP手技書より

 

 

 

 

手術前と手術後のレントゲンは以下の通りです。

 

手術前のレントゲン

撮影年月:2022年10月

 

手術後のレントゲン

撮影年月:2022年10月

 

 

レントゲンに示す通り、大腿骨が完全に折れており、もちろん手術前は患肢をつくことが出来ませんでしたが、無事に手術が終わりプレートで患肢を固定することで、1週間後には歩くことができるようになっていました。

 

骨折の手術後は、レントゲンを撮り、「骨折評価の4A」と呼ばれる4つの評価基準をもとに経過が順調かを評価していきます。

 

 

『骨折評価における4A』

1 Alignment   骨が正常軸を保っているかどうか

2 Apposition  骨折端あるいは骨折片の相互の位置関係はどうか

3 Apparatus   固定器具が、正常な位置にあるか、破損していないか

4 Activity    骨の癒合活性はみられるか

 

 

 

上記の評価基準をもとに慎重に患部のモニタリングをおこない、2022年11月と2023年2月にとったレントゲンを以下に示します。

 

手術後1ヵ月のレントゲン

撮影年月:2022年11月

プレートで骨の固定をしてから、5か月で、骨の癒合が確認

↓↓

 

手術後5か月のレントゲン

撮影年月:2023年2月

 

手術から5か月経過した今年の2月には、あれだけ激しく破損していた骨の癒合がみられ、一本の骨に近づいている様子がみられます。

まだまだ油断はできませんが、このまま順調に回復していけるよう病院としてサポートしていきます。

 

今回紹介させていただいた症例のように、早い段階で適切な処置をすれば、動物は驚異的な回復をみせてくれることがあります。

なにか普段の様子と違うと感じた場合には、飼い主様だけで悩まず、気軽に相談してくださいね。

 

 

 

 

 

 

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