2023.02.08
ACS letter 2023.2 ㊻鍼治療
今回、ACSレターを担当します、獣医師の有馬です。
お陰様で、ACS動物外科クリニックは3年目を迎えることができました。
これからも地域の皆様に信頼され愛される病院作りを目指しますので、どうぞよろしくお願い致します。
さて、私事ですが、昨年から毎月東京の国際中獣医学院へ鍼治療の勉強へ行っています。
ところで皆さん、
“鍼って本当に効くと思いますか?”
アメリカ留学で外科を勉強してきた私には東洋医学というのが信じられない所があり半信半疑でした。
では、なぜ鍼治療を勉強しようと決めたのかというと動物の高齢化が進んでいることから治療の引き出しを増やしたかったからです。
なにか、高齢動物たちを少しでも楽にできる術がないかが始まりでした。
先日、14歳チワワちゃんで歩く距離が短くなったと来院されました。
他院では関節炎と診断され治療をするが最近では起立も難しくなっているとのこと。
診察したところ、関節炎ではなく明らかに前足に麻痺がでていることから頸部から頭部のどこかに神経伝達の問題あると考えられMRI検査を行い結果は、頸部椎間板ヘルニアからの前後肢の麻痺でした。
まずは、内科治療を始めましたが反応はなく、外科手術(ベントラルスロット:首から頸骨にアプローチし骨を削り神経の圧迫を取り除く手術)を行うか飼主様とお話をしましたが14歳の老犬のワンちゃんには、とても負担の大きい手術なので飼主様は手術を望まれませんでした。
しかし、愛犬のために何かできないかと相談を受け、老犬にも負担のない鍼治療を提案し、国際中獣医学院講師の先生にもご指導を受けながら始めることにしました。
初回の施術はその先生に行ってもらい、色々なアドバイスを頂きました。
歩行ができるまで回復する可能性を鍼の先生に尋ねると、
「得気(鍼をツボに刺した時にでるピクっとした反応)もあり歩けるようになると思います。がんばりましょう!」と、とても心強いお言葉をいただきました。
8回くらいの施術で反応がでてくる場合が多いとのことでしたので、週1回の間隔で8回の施術を行うことを提案しました。
最初の3回目施術が終わった頃に
「なにか変化を感じられますか?」の質問に「どうですかねぇ…」と、飼主様は暗い表情。
「8回くらいで反応がでると言われているのでがんばりましょう!」と、その後も継続。
5回目の施術を終えた頃に起立ができるようになり、7回目の施術頃にはゆっくり歩き始めました!!
いやー感動しました!
中西結合医療という言葉があります。
西洋医療と東洋医療の良いところを取り入れて治療をして行く考え方です。
動物たちのために、病気を治療していく中で西洋医療と東洋医療、それぞれの良いところはどんどん取り入れていきたいですね!
どの分野に言える事だと思いますが、勉強すればするほど奥が深いですねぇ。
これからも、動物医療に精進していきたいです。
鍼治療にご興味のある方、お気軽にご相談ください。
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