2022.10.24
ACS letter 2022.10 ㊹オキシトシン
こんにちは、スタッフの辻本です。
突然ですが、みなさんはワンちゃんネコちゃんとアイコンタクトはよくとっていますか?
2015年、麻布大学研究チームはオキシトシンとアタッチメント行動(視線を主とする)のポジティブ・ループ(正の連鎖)によりヒトとイヌの関係性が深まると発表しました。
オキシトシンは脳内で作られ、出産の際に母体の子宮口を広げて分娩を促す効果や母乳の分泌を促進させるなどの生理的な役割があります。
また、相手への愛情や信頼関係を生み出し、ストレスを軽減させるといった様々な心理的効果もあることが分かってきました。
オキシトシンは「幸せホルモン」や「愛情ホルモン」などとも呼ばれ、母子などの関係性や絆を調べるには体内のオキシトシン濃度を調べるのは有効なのです。
一般的に動物では相手を直視する事は威嚇行動の一つとしてとらえられますが、ヒトでは”見つめ合い”など親和的なサインとして利用されます。
この研究ではイヌが飼い主を見つめることで飼い主の体内オキシトシン濃度は上昇し、それにより促進された相互のやりとりによりイヌにおけるオキシトシン分泌も促進されることがわかりました。
オオカミではこのような視線とオキシトシンの関連はみられなかったため、イヌは進化の過程でヒトと似たコミュニケーション方法を獲得しただけでなく、正のループも獲得したことによりヒトとの絆を形成できるようになったと考えられます。
そして今年2022年8月、麻布大学などの研究チームによってイヌも感情が高まると涙を流すことが発表されました。
この研究によると犬を7時間程度会えないようにして、再会前後の涙の量を測定し比較したところ、再会後に有意義に増えていたことが明らかになりました。
この研究ではオキシトシンを点眼したところ涙の量が増えたことからイヌの涙の量にはオキシトシンの分泌が関係している可能性があることも分かったとしています。
つまり、今回の結果から飼い主との再会でオキシトシンが分泌され、それにより涙の量が増えた可能性があると考えられています。
この研究結果を考えながら帰宅し、出迎えてくれた愛犬を見ると、よりウルウルした目で目つめられているような気分になり、より愛おしさが増しました。
最後にもう1つお伝えしたいのが、このような日頃のアイコンタクトからも病気のサインを知ることができます。
表情だけでなく、涙や目ヤニの量、目ヤニの色、充血や痛みの有無など。こうして毎日の観察から病気の早期発見・早期治療に繋げられたらと思います。
参考:
https://www.azabu-u.ac.jp/topics/2022/0823_39642.html
https://www.azabu-u.ac.jp/topics/2015/0417_2502.html
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