2022.01.26
ACS letter 2022.1 ㊴おしっこが出ない!!
さて、今回は獣医師有馬がACSレターを担当します。
寒くなってくると増えてくる疾患の一つに膀胱炎があります。特に、猫ちゃんは寒くなると飲水量が減るため膀胱炎が多く見られます。しかし、たかが膀胱炎とバカにはできませんよ!
尿管閉塞・尿道閉塞になるとおしっこが出なくなり命にも関わってくるからです。
こんな症状ありませんか?
・食欲がなく、うずくまっている
・トイレに何回も行く
・尿の色がいつもより濃い、もしくは赤い
・背中をなでられること、抱き上げられることを嫌う
・尿をした場所がキラキラ光っている
これらは、尿管閉塞・尿道閉塞の前症状ですから気をつけて!
猫ちゃんは特に要注意!!
猫の尿管は0.4㎜と内腔が狭く、結石ができやすい体質の猫は完全閉塞する場合があります。
また、去勢をした雄猫は、尿道が狭く尿道閉塞を繰り返す場合もあります。
尿が出なくなると、初期の段階では、元気、食欲がなくなりますが、急性腎不全になると尿毒素が体に回り嘔吐、下痢などの症状がでてきます。
さらに、尿が48時間出ない場合は、高カリウム血症の危険性が高くなり徐脈・不整脈・心停止など危険な状態に陥る場合があります。
予防
1.食事管理
尿路閉塞で最も多いのは結石によるものです。
結石は結晶が塊になってできるので、結晶を減らすことが重要になります。
まずは、結晶の種類を知り、その結晶に対応した食事に変更することです。
2.飲水量を増やす
水分をたくさん取ることで、尿量を多くして結石になる前に結晶を外に出しましょう。
ドライフードにお湯を入れて食べながら水分を取る方法をお勧めします。
カリカリのままでしか食べない場合は、ウエットの食事を混ぜることで少しでも水分を取りましょう。
猫の場合は、水飲み場を家の中に複数箇所設けることをお勧めします。
また、トマトジュースや豆乳が好きなワンコは多いです。
私の愛犬もトマトジュースが好きでお散歩の後は水で薄めて飲ませるようにしています。
トマトジュースは無塩で100%トマトジュースを選んでください。
塩分の取り過ぎはワンコの体によくありません。
野菜ジュースはワンコが食べてはいけない野菜が含まれている場合があるのでやめてください。
3.散歩の回数を増やす、トイレをいつもきれいにする。
猫の場合、トイレが汚れていると排尿を我慢する子がいます。
また、トイレが狭いこともよろしくありません。
4.定期的健診・尿検査
尿検査からPh、比重、結晶の様子を知ることで早めに対応しましょう。
必要であれば皮下点滴を定期的に行うことで尿量を増やし、膀胱にカテーテルを挿入し膀胱洗浄を行うことが閉塞の予防になります。
それでも閉塞した時は…
最終的に内科療法で閉塞する場合は外科手術が必要になります。
結石が詰まっている場所で手術方法は異なります。
直接的に閉塞を解除する方法や(尿管切開術、尿管端々吻合術、尿管膀胱吻合術など)尿路を人工的に確保するバイパス術(Subシステム)を動物の年齢、結石の場所によって行うこともあります。
しっかり予防をすることで寒い冬を乗り切りましょう!
動物たちの様子が気になったときは、お気軽にお尋ねください。
整形外科クリニック
神戸三宮元町
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