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動物病院+トリミング
神戸三宮元町にあるACSです。

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2021.03.15

ACS letter 2021.3 ㉛誤飲・誤食について

こんにちは。獣医師の下村です。

 

今回はワンちゃんの誤飲、誤食についてお話しさせて頂きます。

 

誤飲、誤食とは文字通りワンちゃんが身の回りの物を誤って食べたり、飲み込んでしまうことです。

特に好奇心旺盛な子犬や子猫の時期は異物の誤飲事故が起こりやすく、事故予防を心がけることが重要です。

 

 

   ⇐誤飲誤食し易いもの

 

 

先日、「クレヨンを食べましたがどうすればいいですか」と病院にお電話がありました。

「直ぐにいらしてください」、とお伝えして催吐処置後に吐き出すことができ、事なきを得ました。また以前には、人間の薬やチョコレート、靴下、梅干しの種などもありました。

また飲み込んだかもしれないと来院される飼い主様や便に出てくるかも知れないと様子を見られる飼い主様もおられます。

大事に至らずに済むこともありますが、中には開腹手術が必要になることもあります。

飲み込んだ物の形状やワンちゃんにとって毒になるものもあり、命に関わる場合もあるので、軽く考えないようにしましょう。 

 

 

誤飲誤食をした物が何か分かっている時

中毒を起こすような物質ではなく、さらに詰まる恐れのない小さなもの、あるいは針など胃壁に突き刺さるような物ではない場合は、便と一緒に排泄されるのを待つ場合もあります。

しかしある程度の大きさのものは胃から通過できません。

通常食べ物は胃内に2~3時間ほど残っているため、誤飲誤食から数時間以内であれば催吐処置で催吐させることができる場合もあります。

また麻酔下で内視鏡で取り出す場合もあります。

嘔吐を繰り返している、涎を垂らす、食欲がない、元気がない、下痢などの場合、単なる胃腸炎など消化管の病気ではなく、飼い主様が気付かないうちに異物の誤飲誤食をした可能性があります。

この場合はレントゲン(金属や骨は映りますがペットシーツ、プラスティック、布、紙などは映りません)、超音波検査などで異物はないか、また閉塞部分がないかを見ます。

バリウム検査をする場合もあります。

時間の経過とともに腸が壊死することもあります。

また腸に穴が開くこともあり命にかかわることもあります。

もし閉塞していたら、開腹手術になります。

また糸が舌の根元に絡まり嚥下(えんげ)障害が起こることもあります。

口や肛門から糸や紐が出ていることがありますが、無理に引っ張ると消化管粘膜などを傷つけることもあるので絶対に引っ張らずに受診して下さい。

 

 

異物はおもちゃや布、紐だけではありません。

中毒となる食べ物も色々あります。

 

 

犬にとって中毒となる代表的な食べ物

玉ねぎ:症状は貧血などの症状や茶褐色の尿が出ることもあります。

    ネギ、ニンニク、ニラなども同様です。

 

 

 

チョコレート:呼吸が早くなったり、落ち着きがなくなったり、興奮時の症状が 

       出る、少量では症状が出ないこともありますがカカオの含有量が   

       多いチョコレートは要注意です。

 

 

 

ブドウ:犬にとって中毒物質です。

    干しブドウも同じです。症状は嘔吐です。

 

 

 

 

キシリトール;キシリトールガムは低血糖を起こし危険です。

 

 

 

 

他にアルコール、人間の薬、漂白剤、ホウ酸団子、たばこ、殺鼠剤など。

 

 

また犬にとって危険な植物もたくさんあります。

・観葉植物 ・アサガオ ・ユリ(葉も花も)など

 

このように人が日頃口にしているものや身の回りにあるものが動物にとっては中毒の原因になったり、家の中以外にも散歩コースに異物や毒物が落ちていることもあります。

 

 

もし誤飲誤食をしたら

動物病院に直ぐにご連絡下さい。

その際に①いつ②何を③どのくらい誤飲したかをお伝えください。

異物の誤飲誤食は飼い主様が対策することで防ぐことのできる事故です。

おもちゃなど口にしているところを慌てて取り上げようとすると、びっくりして飲み込んでしまうことがあるので興味をそそる音を立てたり、おやつなどで注意を引くようにしてくださいね。

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