2020.09.09
ACS letter 2020.9㉕尿検査
こんにちは。獣医師の下村です。
おしっこが出にくそう、頻尿、血尿が出るなどの症状はありませんか。
今回はワンちゃんの膀胱炎と尿検査についてお話させていただきます。
膀胱炎ってどんな病気?
文字通り、膀胱に炎症が起こる病気です。
細菌感染や膀胱結石が原因となることが多く、細菌感染によるものは再発を繰り返すこともあります。
症状は?
- 頻尿
- トイレに行くがほんの少量しか出ない
- 排尿に時間がかかる
- 排尿時に鳴く(痛みがある)
- 尿に血液が混じる
- 陰部を舐める
- 尿が濁る、臭い など
これらの症状は他に尿路閉塞や雄では前立腺炎、腫瘍などによっても起こる場合もあります。
原因は?
- 細菌感染
多くは細菌感染ですが、通常は細菌感染に対する防御機能によって細菌が侵入しても必ず膀胱炎になるわけではありません。
膀胱炎の原因となる細菌は殆どが大腸菌や常在菌であるブドウ球菌で雌は陰部と肛門の位置が近いことから大腸菌が侵入しやすく感染しやすいことが言われています。
他にストレスなどから防御機能が低下し細菌感染しやすくなることもあります。
- 結晶、結石
犬に最も頻繁に観察されるのがストラバイト結晶です。
中性~アルカリ尿に認められ、細菌感染との関連性があります。
検査
*尿検査*
尿の色、透明度、臭い、試験紙のよる尿の㏗、蛋白、糖、比重や潜血など |
次に尿を遠心し、沈殿物などを顕微鏡で確認します。 |
このような沈殿は細菌や結晶のことが多い
細菌尿
ストラバイト結晶
必要に応じてエコー検査やレントゲン検査を行うこともあります。
膀胱の炎症や結石の有無、腫瘍の有無の確認ができます。
治療
細菌感染のよる膀胱炎であることがわかれば抗菌薬治療を行います。
又感受性試験などを行い、その細菌に効果のある薬を使用します。
結石や結晶が見つかった場合は食事療法も行います。
尿の異常を早く見つけるために
尿は、健康状態や病気の診断などをするための重要な情報原です。
膀胱や腎臓などの泌尿器の病気や糖尿など様々な病気がわかることがあるので、とても重要です。
日頃から排尿状態、色(濁りはないか)、量、臭いなどをチェックしましょう。
新鮮で充分な水をいつでも飲めるようにしてあげてください。
トイレも清潔に保ちましょう。
また体もいつも清潔に保つことを心がけて下さい。
異常が感じられなくても定期的な尿検査をお勧めします。
尿のみご持参いただいても検査できます。