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動物病院+トリミング
神戸三宮元町にあるACSです。

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2020.03.11

ACS letter 2020.3 ⑳急性膵炎

こんにちは。獣医師の下村です。

 

 

今回はワンちゃんの急性膵炎についてお話させていただきます。
急性膵炎はひどくなると命に関わる大変危険な病気です。
また一度膵炎になると再発することが多いので、注意が必要です。
早期の治療によって回復率も上がりますので、早めの受診をお勧めします。

 

こんなことはありませんか?
昨日まで元気にしていたのに急に何回も吐いて元気がない、軟便、下痢や血便がある。
これはもしかすると急性膵炎を発症しているかもしれません。

 

*膵臓の働き

膵臓は胃や十二指腸の近くにある臓器で膵液を十二指腸に分泌、食べ物を消化する働きと血糖のコントールをするインスリンなどのホルモンを分泌しています。その膵臓の組織が、消化酵素によって障害を受けることで膵炎が発症します。

 

*膵炎には

急性膵炎と慢性膵炎があります。
急性膵炎は膵臓に急激に炎症が起こり、急性膵炎を繰り返すと慢性膵炎に伸展します。

 

 

*症状

①急性の食欲不振

②嘔吐、下痢や血便などを伴うことが多い。

③腹痛:伏せの姿勢でお尻だけを上げる(祈りのポーズ)。

触診の際に腹部を圧迫すると痛がる。

                                        祈りのポーズ
④発熱、黄疸など

 

 

*要因

①中高齢犬に多い

②高脂肪食や無分別な食事

③高脂血症

④肥満など

⑤好発犬種(ミニチュアシュナウザー、ヨークシャーテリア、アメリカンコッカースパニエル、キャバリアなど)

 

 

*診断:臨床症状、血液検査、腹部超音波検査などから総合的に判断します。

 

 

*治療

基本的には入院して内科療法で治療します。

急性膵炎では重症化を防ぐため早期の治療開始が大切です。

2019年に発売された急性膵炎に特化した治療薬は炎症細胞が膵臓に広がることを防ぎ、膵炎が悪化するのを阻止することで治療効果を発揮します。

当院でもこの薬を積極的に使用するようになり、膵炎の治療に高い効果を得ています。

① 静脈点滴により循環血液量に改善。この時に上記の薬を5日間静脈内投与

② 制吐剤

③ 鎮痛剤(疼痛管理)

④ 食事療法(低脂肪食)

 

 

膵炎は命を脅かす非常に危険な病気です。上記のような症状があれば、早めに受診しましょう。

 

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