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動物病院+トリミング
神戸三宮元町にあるACSです。

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2020.12.18

ACS letter 2020.12 ㉘糞便検査

こんにちは。獣医師の下村です。

 

今回は糞便検査についてお話させていただきます。

 

糞便検査は消化管寄生虫や細菌、ウイルスの有無、下痢のスクリーニング、また健康診断(ドック)時などによく行う代表的な検査です。

尿と同様、糞便にも様々な情報が詰まっています。

寄生虫の有無以外にも小腸や大腸、膵臓などの病気の診断補助にも有用です。

 

 

 

糞便検査が必要な時

・軟便や下痢をしている、便に血が混じる、便に虫がいる、黒い便をするなど、普段と明らかに見た目が違う時

・下痢など便の異常はないが、嘔吐、体重減少があるとき

・軟便や下痢が続く時、フードが合っていなかったり、ホルモンに関係のある病気や小腸の病気が隠れていたりすることがあります。

・子犬や子猫を迎えた時

 

 

オーナー様のお話や症状(いつから便の異常があるのか、排便回数が多くなっていないか、便の量が極端に増減していないか、嘔吐があるか、元気・食欲はあるか、最近フードを変えたり、新しい食べ物を与えたりしたか、その他に症状はないか等)から、診察を進めていきます。

 

 

実際に糞便検査をする前に

糞便の硬さ、形状、色、臭い、寄生虫(回虫など)を肉眼的に観察します。

便の形状から腸の消化吸収の状態を確認。

色は白っぽい、黒いなど、また血液が混じっている、粘液付着などの有無、臭いは腐った臭い、酸っぱい臭いなどを観察、また排便回数、排便量なども重要です。

 

 

 

 

 

消化管にいる寄生虫

特にペットショップやブリーダー、保護施設など多くの子犬や子猫のいる環境にいた子犬や子猫からは寄生虫が見つかる可能性があります。

 

 

下痢の場合

寄生虫、腸内細菌の異常、消化吸収不良、便に含まれる異物などを調べます。

小腸性の下痢か大腸性の下痢(潜血が混じる、粘液が付着している)かを考えます。

 

 

 

糞便検査の方法

院内でできる検査は直接法と浮遊法の二通りです

 

直接法:少しの便をスライドグラスに置き、生理食塩水で薄めて、カバーガラスを置いて顕微鏡で見ます。腸内細菌の動きや寄生虫の有無、消化状態などを確認します。

浮遊法;飽和食塩水で便をよく溶かし、10分から15分静置、上に浮いてくる寄生虫の卵の有無を見ます。また便を染色する場合もあります。

 

 

 

 

 

糞便検査で異常なく(顕微鏡では発見できないウイルスや細菌、らせん菌)、下痢が続く場合には、検査センターでPCR検査(遺伝子検査)を行うこともあります。

 

 

子犬や子猫によくみられる寄生虫

回虫

下痢はない場合もあります。

成虫は便とともに動いているのが見られることもあります。

また吐物に混じって出てくることもあります。

 

 

回虫

 

 

 

 

 

 

 

成虫

 

 

 

 

 

 

コクシジウム

主な症状は、下痢や嘔吐です。

腸の状態が悪いため、他の細菌やウイルス疾患を併発していることもあり、その場合は元気消失・食欲低下・発熱などの症状を示すこともあります。

また、小さい子ほど症状が出やすく、大人になると感染していても全く症状が出ない場合も多くあります。

 

コクシジウム

 

 

 

 

 

 

 

糞便をお持ちいただく際の注意点

できるだけ新鮮なものを乾燥させないようにしてお持ちください。

また、下痢や血便がある場合は全体を携帯などで写真を撮っていただけると診断の助けになることがあります。

寄生虫は存在していても1度の検便では発見できないこともあり、複数回の検査が必要になることもあります。

 

 

 

糞便検査は尿検査同様、ワンちゃん、猫ちゃんに負担のない検査です。

下痢や新しく迎えた幼犬や幼猫のうんちは検査をお勧めします。

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