2020.12.02
ACS letter 2020.11 ㉗バイタルサイン
こんにちは、獣医師福田です。
だんだん寒くなってきましたが皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
今回はバイタルサインについてお話したいと思います。
バイタルサインとは生命の維持に欠かせない 呼吸 脈拍 体温 血圧のことを主にいいます。
正常値を知っておくと、なにか異常が合った時に気づきやすいので是非覚えておいてくださいね。
まずは家でも測定できる 呼吸数 脈拍数 体温についてです。
*呼吸数*
呼吸回数は安静時小型犬・猫:20~30回/分 / 大型犬:15回/分 が正常です。
興奮したり 緊張したりすると増えるので お家でリラックスしているときに数えてください。
特に寝ているときや伏せの状態でじっとしているときに胸やお腹の上下をみて数えてみてください。
15秒で何回上下したか数えて4倍して、1分間の呼吸回数を計算します。
心臓病を持っている子は特に重要な指標となるので呼吸数の変化を見逃さないようにしてあげてください。
また、呼吸は回数以外にも呼吸の仕方も重要です。
お座りの体勢で首を上げて呼吸していたり、猫では口を開けて呼吸しているのは異常です。
様子がおかしいようならすぐに病院に連絡してくださいね。
*脈拍数*
脈拍は血圧と同様に、血液循環を把握するための指標となります。
小型犬:60~80回/分 / 大型犬:40~50回/分
犬猫は、後ろ足の内腿にある股動脈で測ります。
リラックスし、落ち着いている状態のときに測定してみてください。
病院など、緊張状態にあれば120回程度まで上がりドキドキしている子も多いです。
呼吸数と同様に、15秒で何回打ったかを確認し4倍して 1分間の脈拍を計算します。
徐脈、頻脈やリズムの異常があれば相談してください
*体温*
主に直腸温を測定します。
37.5℃〜39.2℃です。
大型犬にくらべ小型犬、猫は高めです。
家では直腸温を測るのは難しいのですが、しっぽを垂直に持ち上げ、ワセリンやオイルを体温計の先につけておしりに入れるとスムーズに入りやすいです。
また、日々抱っこして大体の体温を体感しておくと異常の発見に繋がります。
体温の上昇も興奮によっても起こるので、体温の上昇だけでは異常とはいえません。
体温が高く、呼吸がはやかったり、食欲が落ちたり他の異常が出ているようであれば、早めに来院してくださいね。
最後に血圧についてです。
動物はいろいろな病気が基礎疾患にあって血圧に異常が出ることが多いです。
犬・猫の血圧は、収縮期圧 100から150 拡張期圧60から100が 平均血圧80から120が正常値です。
血圧をしっかり測るには血圧計が必要で、家では血圧を測るのは難しいですが、低血圧かどうかをみる方法があるので紹介します。
まず歯茎を押して白くなったのを確認し、ピンクにすぐに戻るかで判断します。2秒以内に戻れば問題ありませんが、2秒以上かかるようであれば低血圧を起こしている可能性があります。
低血圧の原因として 出血や心臓疾患、内分泌疾患を起こしている可能性があります。
また、歯茎の色は貧血を見たり、酸素がしっかり体を回っているかもわかります。
歯茎の色が青白かったり、白かったりすると異常です。日々、色もチェックしておいてください。
話を血圧に戻します。
血圧計が必要になりますが、150/95mmhg以上になると高血圧と判断します。高血圧が続くといろいろな臓器に負担がかかってしまいます。高血圧は基礎疾患 例えば、心臓病 腎臓病 クッシング 糖尿病 甲状腺機能亢進症などの怖い病気が隠れている可能性があります。
当院では 血圧計で血圧を日常的に測定することで、病院での血圧を把握し、個々の変化を見逃さないようにしています。
またトリミングでは、心臓疾患を持っている子はもちろん、7歳以上の子は必ず血圧を測るようにしています。
当院での血圧測定の様子
日々の生活での異常の発見は、病気の早期発見早期治療に役立ちますので、ぜひ健康なときから我が子のバイタルチェックを日常的に行ってあげてくださいね。