2019.09.09
ACS letter 2019.9 ⑭ワクチンについて
こんにちは。獣医師の下村です。
今回はワンちゃんのワクチンについてのお話です。
ワクチンって何?
ワクチンの正体は病原体?!
ワクチンは、感染症の予防のために使われる薬液のことをいいます。
薬液の中には、毒性を弱めた、もしくは毒性をなくした病原体が入っています。
ワンちゃんや猫ちゃんは、ワクチンを体内に注射することで、感染症にかかることなく、その病原体の免疫が作られます。
この免疫のはたらきによって、つぎに病原体が侵入してきた際にも、病気の発症を防いだり、発症しても軽い症状で済ませたりすることができるのです。
ワクチンはこのようにして、感染症から犬を守ってくれます。
免疫ができるしくみやワクチンでの予防方法は、人間でも同様です。
犬が感染症にかかると、犬の体内では、その病原体に対する抵抗力(免疫)が生まれます。
ワクチンは、このしくみを利用した予防法です。
*混合ワクチンについて*
何種類かの病気を同時に予防するワクチンです。
当院では5種と8種があります。
*5種と8種の違いはレプトスピラ感染症が入っているかいないかの違いです。
レプトスピラ感染症というのは、野ネズミなどの尿から感染し、重症な腎不全や肝炎になり、死に至る事もある恐ろしい病気です。人にも感染します。
散歩は近所だけ、という方は5種、ドッグランや、山や川など野ネズミがいるような場所へ一緒に行かれる方は8種をお勧め致します。
*ワクチンは1回打つだけでいいの?*
ワクチンの予防効果は、接種してから時間が経つと低くなっていきます。
またその効果は、幼犬期、成犬期などの成長ステージごとに異なります。
ワクチンの効き目に谷間を作らないよう、年に一度の接種が大切です。
*ワクチン抗体検査について*
近年では、ワクチン接種の前に感染症に対する抵抗力がどの程度残存しているか、抗体検査により知ることができ、追加接種の有無を確認できるようになりました。
病気治療中、高齢や追加接種を躊躇されている方は当院でも行っておりますので、お気軽にご相談下さい。
*ワクチンの副作用*
ワクチンは異物を体内に入れることなので、まれですが、副作用としてアレルギー反応が出ることがあります。
主な副作用としては次のようなものがあります。
① アナフィラキシーショック
血圧低下や呼吸困難など急性の激しいアレルギー
これは緊急治療をしないと命にかかわります。通常接種直後から約20分以内に発症するので、接種後しばらくは院内で様子を見ま す。
② 皮膚症状
目や口の周りがパンパンに腫れる、痒がる、赤くなる
全身のかゆみ、発赤
③ 消化器
嘔吐や下痢
ワクチン後の注意
ワクチン接種当日は、ワクチンアレルギーの様な症状が出ないか、体調が悪そうではないかなど様子を見てあげてください。
2~3日は激しい運動やシャンプーは控えましょう。