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動物病院+トリミング
神戸三宮元町にあるACSです。

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2019.06.13

ACS letter 2019.6 ⑫心臓病について

こんにちは。獣医師の下村です。

 

 

今回は心臓のお話です。

心臓病は犬の病気の中でも比較的よくみられる病気です。
心臓は毎日休むことなく拍動を続け、全身に血液を送っています。
このため心臓病になると全身に様々な異常が出ることがあります。

 

こんな症状はありませんか?

① なんとなく元気がない
② 疲れやすくなった
③ 少しの運動で息切れをする
④ 咳をする
⑤ 安静時の呼吸数が増えている
⑥ 苦しそうに呼吸をする
⑦ 食欲が落ちてきた
⑧ 夜、ぐっすり眠れない

 

一つ以上、また安静時呼吸数が30回/分以上の場合、その症状は心臓病のサインかもしれません。

心臓は4つの部屋(右心房、右心室、左心房、左心室)から構成されています。
右心室と右心房は全身から流れてきた汚れた血液を肺に送る働きをしています。
左心房と左心室はきれいな血液を肺から受け取り全身に送ります。

 

正常な血液循環は…

全身から集まった二酸化炭素の多い血液は大静脈から右心房→右心室→肺動脈→肺へと運び、

肺からの酸素の多い血液は左心房→左心室→大動脈の順番で全身に運ばれます。

 

 

 

 

 

犬の心臓病と言いましても様々なものがありますが、今回はその中でも最も多い僧帽弁閉鎖不全症についてお話しさせて頂きます。

 

僧帽弁閉鎖不全症は小型犬に多くみられる病気です。
特にキャバリア、チワワ、プードル(ミニチュア&トイ)、ダックスフンド、ビーグル、コッカースパニエル、ヨーキー、マルチーズ、ミニチュアシュナウザーなどです。

 

僧帽弁閉鎖不全症とは…

① 僧帽弁閉鎖不全症は僧帽弁が上手く閉じない状態
左心室から左心房に血液の逆流
この時点ではワンちゃんに症状は殆ど見られません。

 

 

② 左心房、左心室の拡大
左心房の直ぐ上に気管が通っているので、拡大した左心房が気管を圧迫します。
これにより咳の症状が出始めます。

 

 

 

③ 肺静脈の拡張
左心房の拡張が限界を超えると、その先にある肺静脈の拡張が起こる

 

 

 

④ 肺に水が漏れる→肺水腫
末期段階で呼吸不全など見られるようになる。

 

 

 

 

 

検査

① 身体検査(聴診で心雑音の聴取や呼吸の状態など)
② レントゲン検査(心臓の大きさ、気管や肺の状態など)
③ 心臓超音波検査(弁の状態や血流の方向や速さなど)
④ 心電図(不整脈の検出)
⑤ 血液検査
⑥ その他;新しい検査法として心臓バイオマーカーANP測定
ANP;心房筋の伸展刺激により産生・分泌されるため、心房のうっ血を評価するのに用います。
特に僧帽弁閉鎖不全症では早期に上昇します。

 

 

治療方針

僧帽弁閉鎖不全症の治療で最も一般的なのが投薬治療です。
心臓にできるだけ負担を減らし、今ある症状を緩和し、心不全の進行をできるだけ遅くする効果があります。
治療は一度始めると途中でやめることはできません。
またその他にも食事管理も大切です。
① 体重(=筋肉量)の減少を防ぐ
② 十分なカロリーを摂取
③ 食欲不振に気を付ける
④ 診察の都度に体重を正確に記録
⑤ 蛋白質を十分に摂取
⑥ ナトリウム摂取量を制限

 

 

早期発見、早期治療のために

症状がなくても半年に一度くらいの定期健診を受けましょう。
これは心臓病に限りません、どの病気にもとても大切です。

 

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