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動物病院+トリミング
神戸三宮元町にあるACSです。

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2019.03.05

ACS letter 2019.3 ⑨色々な部位を触ってみよう!*歯磨き編*

こんにちは、獣医師の有馬です。

 

日々の診療の中で、よく質問されることの一つに
「口臭が気になるけど、口を触ると手を咬むので 家では歯磨きができないんです。
病院でデンタルケアはできますか?」

答えは No! できません。危険です。

病院ですから、全身麻酔をかけてスケーリング(歯石除去)はできますが、日々のデンタルケアを嫌がるワンちゃんに行うことはできません。むしろ、嫌がる場合は、口を触られることに慣れるまでは、絶対に歯磨きはしないようにしてください。
ここで無理をすると、顔周りに手が近づくことを嫌がってしまい、飼い主さんと犬との関係が悪化する可能性があり、咬みつく原因になりかねません。ワンちゃんのペースに合わせてゆっくり丁寧に段階を踏んで行っていきましょう。

 

なぜ、歯磨きは必要なの??

歯石は、細菌の塊です。単なる汚れではなく、歯周炎という病気を招く原因です。

歯周炎が悪化することで、口臭が強くなり、歯が抜け、細菌が心臓へ行けば心内膜炎を引き起こし、他の内臓にも重大な影響を及ぼします。

 

歯磨きは6ステップで進めましょう。
各ステップは、1週間かけて行うことをお勧めします。問題なく課題がクリアーできれば次のステップに進むようにしてください。

 

 

Step1 口の周りを触ってみる
ワンちゃんを押さえつけず、自分の意志で動ける状態で口周りを触ってみましょう。
口周りはとてもデリケートなところです。もし、嫌がるようでしたら、ワンちゃんが喜ぶ部分を触ることから始めましょう。次に少しだけ口周りを触り、最後は、喜ぶ部位を触って終わるようにしましょう。

 

Step2 唇をめくられることに慣れる
口を開けることなく、上唇をそっとめくってみましょう。この時、褒めながらめくるようにしましょう。「~ちゃん、いい子だね。」などと褒めることが大切です。最後にご褒美の食べ物をあげてください。

 

Step3 指で歯や歯肉に触られることに慣れる
唇をめくることになれたら、犬歯(一番大きな尖った歯)を撫でるように触りましょう
今は、磨くのではなく、触ることがポイントです。犬歯は上下左右に1本ずつありますので、計4本あります。1本触ることができれば、ご褒美をあげましょう。
すべての犬歯を触ることができるようになれば、少しずつ奥歯、前歯と段階を踏んで進めていきましょう。ペースト状のフードを少量指につけて試してもいいでしょう。ここでは、口を開ける必要はありません。まずは、外側の歯を全部触れることが目標です。

 

Step4 ガーゼやデンタルシートを使い、歯に触られることに慣れる
指で行ったことを、今度はガーゼやデンタルシートを使って行っていきましょう。
まずは、犬歯をすべて触れるように、次に、奥歯、前歯と進めていきます。
ガーゼは湿らせておくといいでしょう。指の時と同じように、ペースト状のフードをしみこませて使うと喜んでくれるワンちゃんが多いです。まだ、磨こうとはしないでください歯を2~3秒ずつ触れるようになることを目標にしましょう。

 

Step5 歯ブラシを当てられることに慣れる
いよいよ歯ブラシです。しかし、行うことは、ガーゼが歯ブラシになっただけです。
唇をめくり、(口を開ける必要はありません。)犬歯に歯ブラシを当てる。次に奥歯、前歯と段階的に進んでいきましょう。歯ブラシにペースト状のフードをつけてもいいでしょう。まだ、磨いてはだめです。まずは、歯ブラシを当てることになれましょう。
上手にできたら、ご褒美を忘れずに! これ、大切です。

 

Step6 歯ブラシで歯を磨かれることに慣れる
いよいよ歯磨きです!歯を磨く時は手に力を入れず、優しくそっと触れるように磨きましょう。決してゴシゴシしないことがポイントです。まずは、犬歯を数秒磨きます。褒めなら進めてください。できれば、ご褒美のおやつをあげてください。次に奥歯、前歯と外側全体をみがけるようになることが目標です。一日ですべてを磨く必要はありません。決して無理せず、ワンちゃんが嫌にならない程度で終えましょう。残りは明日すればいいんです。最後にご褒美を与えて、うれしい気分で終わりましょう。

 

最終Step ここまで、できれば優等生 内側にチャレンジ
歯周病予防には内側のケアも大切です。しかし、外側と違い内側は難易度が高いです。
歯ブラシでは難しいので、ガーゼやデンタルシートで触れることから始めましょう。無理はいけません。拭けるだけでも、十分なデンタルケアになります。

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