2025.02.03
ACS letter 2025.2 誤食事故
こんにちは。
今回担当する荒濵です。
またまた前回の投稿から半年が経過しました。
つい最近まで夏だと思っていたら、もう新年を迎えてしまいました・・・
まずは、皆様待望、大人気コーナー?の荒濵熱帯魚通信Vol.2です。
前回の投稿で、世界的な人気魚種であるダトニオプラスワンを二人お迎えしましたという報告をしました。
ACS letterを読んでくださっている方が多く、普段の診療時に「熱帯魚を飼育しているんですね?」とか「おさかなさん元気にしていますか?」などお声掛けしていただくことがありました。
今のところその後も体調を崩すことなく元気にしております。身体も5cm程度とまだまだ小さいですが、荒濵家に来てから2倍くらいの大きさにまで成長しました。
↑我が家にやってきたダトニオ
↑アフリカの古代魚ポリプテルス
悩みはといえば食事なのですが、半年前から変わらず人工飼料を全く食べてくれません。お魚さんも身体の成長に応じて食事内容を変えていく必要があるのですが、なかなかうまくいかず悪戦苦闘の毎日です。
とはいえ朝起きると、ご飯が欲しいのか近くに寄ってきてくれるのが嬉しいですね。
焦らず成長を見守っていきたいと思います。
今回は、ダトニオさんだけでなく、荒濵家の先住魚ポリプテルスの写真も載せておきますね。
さて、今回のACS letterは、「誤食事故」について書かせて頂きます。
誤食とは、本来食べてはいけないものを誤って食べてしまうことを言います。その内容は様々です。
ワンちゃん、ネコちゃんにとって私たちが普段使用する生活用品や食品は、本来自然界に存在しないものが数多くあります。そのため食べてよいものか、そうでないのか分からず、誤って食べてしまい大事になってしまうことがあります。
ただ様々な疾患と違い、私たちが注意さえすれば防げるのが「誤食事故」でもあります。
年末年始は気持ちが緩み誤食で来院される患者さんが多くなる時期ですので、初心に還り注意喚起の意味も兼ねて今回はこのテーマについて書こうと決めました。
「誤食事故」の中でも経験する症例数が多い「①食品」、「②家庭用品」について、私が実際の診療で経験したことをお伝えしていきますね。
- 食品
「間違ってたべてしまいました」ということで、もっとも多いと感じるものは、なんといっても「食品」です。中でも、チョコレート、ブドウ、玉ねぎはワンちゃんネコちゃんが食べてはいけないものとして有名なので、飼い主様も気づきやすく日常的に来院されます。
他にも、キシリトール、果物の種子、アボカド、銀杏も中毒を引き起こす可能性がある食品として注意しなければなりません。
あと、食品ではないですが焼き鳥の串や骨も誤って食べてしまう事故もよく聞きます。
串にお肉やダシの匂いや味がしみ込んでいて興味を持ってしまうためだと考えられますが、串はとても鋭利なため飲み込んでしまうことで消化管を傷つけてしまう可能性があります。
また、食欲旺盛なフレンチブルドッグさんなどお口が大きなワンちゃんは大きいものをそのまま飲み込もうとしますが、大きな野菜(ブロッコリーなど)や骨など硬いものは形状が変化せず、喉やその奥の食道に引っかかってしまうことがあります。その場合、呼吸することができなくなり、最悪窒息死を招きかねません。
写真1は、ブロッコリーを食べた後から呼吸状態が悪化したとのことで、緊急で来院された子のレントゲン写真です。食道の途中でブロッコリーが引っ掛かり、気管を圧迫していました。
写真1 食道にひっかかり,気管を圧迫しているブロッコリー
- 家庭用品
人間のお薬、ペットボトル、おむつ、おもちゃ、軽石など家庭用品の誤食で来院されることも多いです。
特に人用医薬品は、とても小さくワンちゃんネコちゃんが食べやすい大きさであるため、おやつと間違って食べてしまう事故につながりやすいのだと思います。人間のお薬の中には、ワンちゃんやネコちゃんが体内で上手に代謝できずに中毒症状を引き起こすものがあります。中でもアセトアミノフェンは有名ですね。人用医薬品を動物に応用して使用していることはもちろんありますが、中毒症状を起こさない投薬量を計算して使用しています。人用医薬品そのままではワンちゃんネコちゃんにとって過剰な量であることが多いため、中毒症状を呈することがあり危険ですので、絶対に口にしないように保管してくださいね。
また、おむつやおもちゃを飲み込んでしまったと駆け込まれることも多いのですが、これらは体内で消化することができないため、消化管の閉塞を引き起こす可能性があります。変わった事例としては、お散歩中に軽石?を誤食し、その後呼吸状態が悪化したとのことで来院されたことがありました。写真2の通り、レントゲンで異物の存在を確認してみると食道から胃に流れず途中で引っかかっていました。この時は、内視鏡で異物を胃内に押し込み、胃切開にて取り除きました。
写真2 気管にひっかかった軽石?
写真3 胃の中に残ったマット
写真3は、マットをかじって飲み込んでしまったケースで、この時は内視鏡にて取り除きました。
このように、私たちの生活に当たり前のように存在している食品や家庭用品が、実はワンちゃんネコちゃんにとって危険だったりすることがあります。
「誤食事故」は、私たち人間が注意をすることで確実に防ぐことができますので、新年ということでもう一度生活環境の見直しをしてみてはいかがでしょうか。
この一年も、皆様にとってよい一年になりますように!!
神戸三宮元町
ACS動物外科クリニック
AnimalCareStation